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熱田で味わう
元祖ひつまぶし

高級料亭の味をランチで。「あつた蓬莱軒 本店」のひつまぶしと共に味わう、柚子が香る極上の「肝吸い」

高級料亭の味をランチで!「あつた蓬莱軒 本店」のひつまぶしと柚子香る「肝吸い」に心洗われる名古屋を訪れたなら、一度はあの重厚な暖簾をくぐりたい「あつた蓬莱軒 本店」。明治6年の創業から、150年以上の歴史を紡いできたこの場所は、もはや単なる飲食店ではなく、名古屋の食文化と伝統を守り続ける「聖地」のような存在です。熱田神宮の広大な杜にほど近く、歴史を感じさせる荘厳な門構えを抜けると、そこには日常の喧騒を忘れさせてくれる、静謐で贅沢な時間が待っています。

 

多くの人がこの店を訪れる最大の目的は、言わずと知れた「ひつまぶし」。今や名古屋を代表する名物ですが、実は「ひつまぶし」という名称を商標登録しているのは、この蓬莱軒。正真正銘、元祖の味がここにあります。

 

しかし、今日私が心からお伝えしたいのは、その主役を完璧に支え、時には主役を食ってしまうほどの存在感を放つ「肝吸い」の、凛とした美しさについてです。正直なところ、若い頃の私は「お吸い物なんて、メインの合間に口を湿らす程度のもの」と、その価値を甘く見ていました。でも、蓬莱軒の本店で最初の一口を啜った瞬間、自分の不明を恥じ、それまでの認識を180度改めることになったのです。蓋を開けた瞬間の「春」の訪れ注文を済ませ、歴史を刻んだ黒光りする床や、畳の香りが心地よい座敷で静かに待つ時間。やがて運ばれてくる漆塗りの器。その蓋をそっと開けた瞬間、あなたを包み込むのは、春の訪れを予感させるような「柚子」の清涼で高貴な香りです。漆黒のお椀の中に広がっているのは、底の模様まで鮮明に見通せるほどに透き通った、黄金色の出汁。そこに、新鮮でぷっくりと膨らんだうなぎの肝、そして鮮やかな緑の三つ葉が静かに佇んでいます。

 

このビジュアルの美しさだけで、すでに「高級料亭のランチ」をいただく喜びが最高潮に達します。このお出汁を一口啜れば、驚くほど繊細でありながら、奥底から湧き上がるような力強い旨味に驚かされるはずです。雑味が一切なく、喉を通った後に残るのは、柚子の爽やかな香りと出汁の余韻。これこそが、長年「料亭」として歩んできた蓬莱軒が、一滴の汁にまで込めた矜持なのだと痛感させられます。肝は驚くほど臭みがなく、噛みしめるたびに、特有のコクと滋味深い味わいが口いっぱいに広がります。

 

職人の「火」が宿る、王道のひつまぶしもちろん、主役であるひつまぶしの完成度は、他の追随を許しません。備長炭の強火力で一気に焼き上げられたうなぎは、皮目がパリッと香ばしく、身は驚くほどフワフワとした食感。150年以上もの間、継ぎ足し続けられてきたという秘伝のタレは、決して甘すぎず、深いコクがありながらも後味はスッキリとしています。このタレとうなぎの脂、そして一粒一粒が立ったご飯が三位一体となったとき、脳内は幸福感で満たされます。蓬莱軒が推奨する「4度の感動」を味わう作法も、ここではぜひ忠実に守りたいところ。

一膳目は、そのままで。 うなぎの香ばしさとタレの深みをダイレクトに味わいます。

二膳目は、薬味と共に。 ネギ、海苔、そしてわさび。特にわさびが良い仕事をします。脂の乗ったうなぎを、わさびの刺激が上品に引き締めてくれるのです。三膳目は、お出汁をかけて。 ここで、先ほどの「肝吸い」にも通ずる、職人の出汁の真価が問われます。濃厚なタレの味を、繊細なお出汁が優しく包み込み、サラサラと胃に収まっていく。この調和こそが、蓬莱軒を「唯一無二」にしている理由ではないでしょうか。最後、

四膳目は「一番のお気に入り」で。 私はいつも、たっぷりの薬味に、ほんの少しだけお出汁を足す「贅沢な合わせ技」で締めるのがお気に入りです。待ち時間さえも、旅の「スパイス」に本店を訪れる際に、避けて通れないのが「待ち時間」です。土日ともなれば2時間、3時間待ちは珍しくありません。しかし、ここで挫けないでください。蓬莱軒 本店には、店頭で名前を告げて指定された時間に戻ってくるというスマートなシステムがあります。

 

待ち時間は、すぐ隣にある「熱田神宮」を参拝するのが黄金のコース。木々に囲まれた神聖な空気の中で心を整え、境内の大楠を眺めながらゆったりと歩く。そうしてちょうどお腹が空いた頃に、あの香ばしい匂いが漂う店内に戻る――。この「待ち時間」すらも、最高の食事を楽しむための演出の一部のように思えてくるから不思議ですよね。

 

最後にお値段は決して安くはありません。でも、登録有形文化財級の趣ある建物の中で、150年の歴史を噛みしめ、柚子香る極上の肝吸いに癒やされる。この体験は、単なる「食事」を超えた、自分自身への最高のご褒美になります。「本当の名古屋の味を知りたい」。そんな願いを抱いて、熱田の杜を訪れたなら、迷わずあの暖簾をくぐってみてください。お腹だけでなく、心までもが豊かに満たされる至福の時間が、そこには間違いなく存在しています。

​名古屋ごちそう横丁

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